小児整形外科

このような症状・お悩みはありませんか?

幼い子どもは痛みやしびれ、こわばりなど整形外科的な症状があっても、症状のある場所や内容をうまく伝えることができません。
普段、様子をみている方がちょっとした変化を見つけてあげることは、早期発見や治療に役立ちます。下記のようなことに気付いたら、お早めにご相談ください。

  • 乳児検診で股関節の開きが悪いことを指摘された
  • 背骨が曲がっている
  • 猫背などで姿勢が悪い
  • 夜間などに下肢の痛みを訴える
  • O脚やX脚のように見える
  • 歩き方がおかしい、転びやすい
  • 学校検診で側弯症という指摘を受けた
  • 腕を動かさず、触れられるのを嫌がる
  • 扁平足で土踏まずのアーチがほとんどない

このような症状がありましたら受診をお勧めします。

小児整形外科は何歳から?

小児整形外科は何歳から?

新生児の診療も行っていますので、0歳から受診可能です。子どもは成長過程にあり、多くの機能が発達途中です。健やかな成長や発達のために役立つ留意点などについてもお答えしていますので、ご心配なことがございましたらお気軽にご相談ください。
子どもの整形外科疾患には、先天的な要因に成長・発達が関与し、状態が変化することがしばしばあります。経過が順調な先天的疾患があり成長によって悪化するケースもあれば、顕著な変形があっても成長によって自然に改善するケースもあります。当院では経験のある医師が、成長・発達を考慮した上で治療の提案を行います

小児整形外科の主な疾患

発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)

古くはひとり歩きをはじめた後に跛行することで発見されましたが、現在は乳児検診で股の開きが悪いと指摘されたり脱臼感があった場合にX線(レントゲン)や超音波(エコー)診断が行われることで早期発見が可能になっています。
もし成人後に脱臼がある場合は、片脚が短く跛行がみられたり、股関節痛が生じたりします。

原因と病態

周産期に緩みのある赤ちゃんの股関節が、脚を伸ばした位置でオムツをするなどの好ましくない育児習慣によって外れていくことが多いと言われています。脱臼は生まれた後に発症するのだという議論から、最近は先天性というより発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。
かつては出生数の2%前後の発生率があり、近年はその約1/10 に減少していますが、成人の二次性変形性股関節症を含めると現在でも代表的な股関節疾患といえます。

症状と診断

乳児では股の開きが悪い開排制限、脚を伸ばした際の太もものしわ、両膝を立てた際に膝の高さが低い、両足を持ち上げると片方のお尻がふくらんでいるなどから発見されます。両足の長さが違ってしまうこともあります。歩行ができるようになってから足を引きずる跛行で発見されることもあります。
このような症状があれば、エコーやX線を用いた画像診断を行います。
なお成人ではX線撮影で容易に診断できます。

予防と治療

治療は年齢により異なりますが、大きく分けると脱臼の整復とその後に残った変形の矯正に別けられます。乳児期に発見された場合、日本では多くリーメンビューゲルと呼ばれるひも型の装具療法が行われています。もしこの装具で整復が得られない場合や月齢などから装具療法がうまく行かない場合には、オーバーヘッド・トラクションといわれる入院牽引療法が行われる場合が多いです。それでも改善しない場合には手術を要することになります。
整復が得られたらその後の成長の経過観察を行い、もし後遺症が早めに出た場合骨盤骨切り等のいわゆる補正手術を行います。できれば就学前に一応の治療を終わらせておくのがよいとされています。
なお最近育児に取り入れられたスリングによる保育法が、この疾患の発生を助長するのではないかとの危惧が持たれています。

内反足(ないはんそく)

生まれつき足が内側にねじれており、足の裏が内側を向いています。他の部分は正常に発達している突発性内反足が多くなっています。男児の発症が多い傾向があります。
早期の治療が必要とされますので、疑わしい場合には速やかに当院を受診してください。

原因

まだはっきりとした原因はわかっておらず、発育異常と考えられています。

症状

内転(足のつま先が内側を向く)、内反(かかとが内側を向く)、尖足(つま先が下がる)などの症状がみられます。

治療

Ponseti(ポンセッティ)法による治療が行われます。週に1度ほどの間隔でギプスを巻きかえ、約6週間続けます。小さな皮膚切開でアキレス腱を切る手術(皮下切腱術)を追加することがあります。ある程度矯正したら装具によって矯正位を維持します。

どうしても十分な矯正が得られない場合には、1歳前後で本格的な手術(距骨下全周解離術など)を行います。

※当院ではPonseti法は行わないため、必要と判断した場合には高度医療機関へご紹介をさせていただきます。

矯正が得られた後も、成長が終了するまで原則的に何らかの装具が必要となります。幼児期、学童期以降に変形の再発が見られる場合には、変形の程度に応じて追加の手術を行います。
治療の第一目標は、足の裏を地面につけて歩行できる(足底接地)状態にすることです。

筋性斜頚(しゃけい)

常に首をかしげている状態です。1,000人に2~3人程度が発症し、骨盤位(逆子)で生まれてきた赤ちゃんに多いとされています。

原因

胸鎖乳突筋という筋肉の拘縮によって生じます。

症状

片側の首の筋肉にしこりができ、しこりがある方に首が傾いて、顔は反対を向きます。しこりは、生後2~3週で大きさのピークを迎え、それ以降は徐々に小さくなります。

治療

約90%が1歳半までに自然治癒するとされています。向き癖に注意することで改善される場合もあります。ただし、3~4歳までに改善しない場合には手術が必要になります。

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)

背骨が左右に弯曲しており、ねじれている場合もあります。進行すると呼吸機能障害や腰痛・背部痛などを生じる可能性があり、早期発見と治療が重要であることから学校健診が行われています。
小学校高学年から中学生にかけて発症する思春期特発性側弯症が8割を占めます。女子の発症が多いとされています。

原因

A 機能性側弯(一時的な側弯状態)

何らかの原因により一時的に生じた側弯です。椎間板ヘルニアなどに伴う痛みによるものもあります。

B 構築性側弯(本当の意味での側弯症)

脊椎のねじれ(回旋)を伴った側弯であり、簡単にまっすぐに戻らなくなった状態です。

1.特発性側弯症

特発性とは、原因がわからないこと、を意味し、側弯症のうち80-85%を占めます。
年齢による分類

  1. 乳幼児期側弯症:3歳以下で発症し、男児に多いです。
  2. 学童期側弯症:4~9歳に発症し、進行する例が多く見られます。
  3. 思春期側弯症:10歳以降に発症し、多くは女子です。
2.原因である病気がわかっている側弯症
  1. 先天性側弯症:椎骨に生まれつきの形の異常があるために発症する側弯症です。
  2. 神経・筋原性側弯症:様々な神経や筋肉の病気が原因で発症する側弯症で、脊髄空洞症、脳性麻痺、筋ジストロフィーが代表的な病気です。
  3. 神経線維腫症による側弯症:レックリングハウゼン病ともよばれ、特有な色素斑、皮膚腫瘍、などにより診断されます(イメージ2)。
  4. 間葉系疾患による側弯症:血管や結合組織の生まれつきの病気による側弯症で、マルファン症候群が代表的な病気です。
  5. その他の側弯症:放射線治療、やけどなどによるケロイド、骨系統疾患、感染、代謝疾患、脊椎の腫瘍などによっても側弯症が起こります。

症状

背骨の曲がりやねじれが生じ、肩の高さや骨盤の高さの左右差、ウエストラインの左右差、肩甲骨突出、胸郭変形などで発見されることもあります。進行すると呼吸機能障害や腰痛・背部痛などを起こします。

治療

医学的根拠のある有効な治療法は、装具治療と手術治療です。側弯症の程度や年齢などを考慮して、以下の方法を選択します。

1.装具をつけない経過観察

成長期に側弯症が25°未満の軽いカーブの場合は、定期的なX線検査と整形外科医による診察を受けることが大切です。進行した場合は装具治療に移行します。

2.装具治療

一般的に側弯が20°~45°程度の中等度の側弯症の場合は、進行防止のために装具治療を行います。装着時間が長いほど効果があります。
成長が止まり、骨が成熟して側弯の進行もなければ、徐々に装具装着時間を減らし、装具治療を終了します。

3.手術治療

高度の側弯症を矯正し進行を防止できる唯一の方法は手術です。リスクをゼロにすることはできませんが、現在では適切な予防や対処も行われ、手術治療の安全性が向上しています。

O脚・X脚

両膝が外側に開いているO脚、両膝が内側を向いているX脚があります。症状が左右対称ではない場合には、くる病などを原因とした病的なものが疑われますので早めに当院までご相談ください。なお、O脚変形が残ってしまった場合、将来的に変形性膝関節症発症のリスクが高くなります。
多くの子どもは2歳頃まで生理的O脚であり、その後4歳頃にX脚になってから7歳頃になると自然に改善します。

原因

病的なO脚の原因疾患には、くる病やブラント病などがあります。

症状

足をそろえて立った場合、O脚は両膝間が開き、X脚はくるぶし間が開きます。片側のみに症状がある場合には病的な原因があると考えられます。

治療

くる病などの原因疾患があって生じている場合には、装具を使った治療や手術が行われます。

ペルテス病

大腿骨は股関節とつながっており、その付け根部分に血行障害が起こって大腿骨の骨頭が一時的な壊死を起こしている状態です。3~6歳頃の男児に多いとされています

原因

血行不良を起こす原因はわかっていませんが、受動喫煙との関連性が指摘されています。

症状

股関節の痛み、膝の痛み、足を引きずる跛行などの症状を起こします。

治療

装具療法を行います。壊死した部分は2年程度で回復するとされていますが、運動機能障害が生じている場合には牽引療法や手術が検討されます。

オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)

脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出してきて、痛がります。時には、赤く腫れたり、熱を持ったりします。休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。
発育期のスポーツ少年に起こりやすいのが特徴です。

原因と病態

10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをし過ぎると、発生します。
大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の力は、膝蓋骨を介して膝蓋腱となって脛骨(すねの骨)にくっつき、膝を伸ばす力として働きます。この力の繰り返しにより膝蓋腱のくっつく脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり、成長軟骨部が剥がれることで生じます。
この時期は急激に骨が軟骨から成長する時期です。

診断

特徴的な症状と同部の圧痛や隆起である程度可能ですが、X線(レントゲン)検査を行うことで確定します。

予防と治療

成長期の一過性の病気で、成長が終了すると多くは治癒します。この時期はスポーツを控えることが大切です。
上記の症状を強くさせないためには、大腿四頭筋のストレッチングやマッサージなどを行い、痛みが強い場合には内服や湿布をします。

スポーツ復帰

痛みがなくなればスポーツは可能です。
発症後3~6ヵ月はスポーツをすると症状が強くなるので、スポーツ前後に上記ストレッチングやマッサージ、ベルトの装着などをした上でのスポーツ復帰をお勧めします。

成長痛(子どもの下肢の痛み)について

いわゆる”成長痛”とは

成長痛は、幼児期・学童期・思春期に生じる一過性の下肢の痛みを指す言葉です。成長期の子どもに多いスポーツ障害のオスグッド病やシーバー病も成長痛の1種と捉えられることがありますが、こうした疾患は軟骨の剥離や炎症が原因となって生じX線などの画像検査で異常をみとめます。本来の”成長痛”は検査をしても特に異常がありません。

成長痛の主な症状

  • 夕方から夜間、朝方に痛みを訴えることが多く、昼間活動している時に痛みを起こすことが少ない
  • 痛みは一過性で数時間以内におさまり、痛みを残さない
  • 不定期に痛みが起こる(週や月に数回程度)
  • X線撮影などの検査をしても特に異常がない
  • 痛い部位に炎症症状(腫れ・赤み・熱感・圧痛・運動制限など)がない
  • 軽いマッサージやストレッチで痛みを緩和できることがある

上記のような症状が続く場合、成長痛が疑われます。

痛む場所・痛む期間

痛みを起こすことが最も多いのは膝です。ふくらはぎやすね、足の関節、太ももなどに痛みを起こすこともありますし、はっきりとどこが痛いと言えないことがあります。また、痛みが生じる場所が変わることもありますが、主に下肢に痛みが生じます。
成長痛の痛みが現れる期間は数週間~数か月程度のことが多いですが、何年にも渡ることもあり、個人差があります。

成長痛の原因

成長痛が起こる原因は今もはっきりとはわかっていませんが、ストレスや不安、筋疲労が痛みに関与しているという考えがあります。ストレスというといやなことだけが原因になっていると思われやすいのですが、活動性やテンションが上がる・楽しいといったポジティブなインパクトもストレスになることもあります。
また、骨や関節、筋肉も未熟であるため、活動的に動き回ることで疲労すると、痛みや不快感、だるさなどを表しやすいです。

成長痛の対処法

成長痛は実際に痛みや不快感があり、仮病ではありません。痛いものだと理解してあげることが大切です。また、ストレスや不安が原因という考えもありますが、ストレスをゼロにしようと考えるのは逆に大きなストレスになってしまいます。
子どもによりそい、優しく愛情をもって対応するのがよいでしょう。親の愛情を受けているという安心感が症状の緩和につながるようです。

  • 冷やす・温めるなど本人が心地よいと感じるケアを行う
  • 湿布・アイスバッグで冷やす、ホットタオル・入浴などで温まる
  • 優しくマッサージする・なでる・さする
  • 痛みを起こさない範囲でストレッチをする
  • 就寝時に足の下へクッションなどを置いて足を高くする
  • 睡眠をしっかりとる

受診が必要な足の痛み

成長痛の痛みは主に夜に生じ、数時間でおさまって昼間はケロッとしていることが多く、痛みを起こす部位もその時々で変わります。
ただし、子どもの下肢の痛みは成長痛以外でも起こることがあり、特に下記のケースではできるだけ早く整形外科を受診する必要があります。

腫れ・熱感のある痛み

細菌感染や外傷、成長軟骨の損傷などが疑われます。

痛みがあり、足を引きずる

成長軟骨損傷、単純性股関節炎ペルテス病などの可能性があります。

股関節周辺の痛み

安静を保った上で精密検査が必要な疾患が複数ありますので、速やかに受診してください。

いつも同じ場所が痛む・何日も痛みが続く

成長痛ではなく、疾患が原因となって生じている可能性が高い状態です。
また、成長痛と診断されている場合も、強い痛みがある場合にはお気軽にご相談ください。診察や処方によって痛みが解消できるという安心感がストレスの解消につながることもあります。

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